空き家バンクとは

空き家バンクとは、自治体が定住促進のために空き家を紹介する制度です。

 

自治体の狙いは主に以下です。

 

・若年者、子育て世帯の定住化

 

・農林水産業従事者等の増加

 

・(税収に寄与する人口の増加)

 

自治体によっては空き家バンクに登録する過程で各種助成金制度などの優遇措置の紹介や、空き物件に関する優先的な情報なんかも提供してくれます。

 

ただ、空き家バンクに関しては自治体ごとの温度差が結構あります。

 

移住定住に関してかなり注力している自治体、逆に単にホームページに1ページ作ってみただけの自治体など。

 

そして空き家の売却/賃貸の比率は売却物件7割、賃貸物件3割くらいです。

 

さすがに家を購入する際には、ネットショップのような衝動買いは止めましょう。完全に運任せで購入するなら別ですが・・・。基本的には色々情報を集めましょう。

 

0円の空き家を取得して貸す方法 (PR)

 

0円の民間の空き家物件を取得して貸す方法です。

 

 

空き家バンクのメリット、デメリット

 

空き家バンクに対する過度な期待は持ってはいけません。

 

空き家バンクの短所

 

・面倒な物件が有る。

 

家財が乱雑に置きっぱなし、特定の部屋のみ貸主がたまに使いたい等々の面倒な物件が空き家バンクには有ります。

 

おおざっぱに言うと、不動産屋が扱ってくれないので空き家バンクに出している、という物件も有るということです。

 

 

・敷金・礼金・仲介料などの支払いについて

 

購入値段や家賃以外の料金(不動産屋さんに支払う仲介料、賃貸時の敷金や礼金など)掲載が無い空き家バンクが多いです。

 

 

・空き家バンクに掲載されている写真について

 

現地で実体験しましたが、掲載されている写真は良い面だけを写しているかもしれません。

 

とくにその傾向が強い自治体は、以下です。

 

・不動産情報を掲載することに慣れていない自治体。 ※逆におおむね長野県の自治体は慣れている印象があります。

 

・自治体と空き家管理者が同等のバランスでは無く、空き家管理者の方がパワーバランスが強い物件および自治体。

 

購入希望者から見て参考になる写真(ありのままの家の状態)を撮影するという姿勢、経験ともにおおむね、自治体の空き家バンクサイトよりも大手不動産屋の賃貸情報サイトの方が上かと思います。

 

賃貸情報サイトも自治体の空き家バンクサイトも見た目は同じように見えますが、運営者の不動産に関する経験値は、だいたい賃貸情報サイトの方が上ということになります。

 

家一戸についての写真数も空き家バンクの方が少ないです。

 

 

・地方移住において予想される心理的/物理的負担

 

これは空き家バンクのデメリットでは無く、地方移住に関する点です。

 

地方移住においては、不安がある方も多くいらっしゃるかと思います。

 

例えば「不便なんじゃないか?」とか「収入が減るんじゃないか?」という不安です。

 

愛媛県宇和島市 「田舎暮らし十カ条」にもそういった不安が記載されています。

 

ただこの十カ条も、移住の1つの側面を示しているだけなので、結局はその土地土地でまちまちです。

 

例えばバブルの時代に多くの土地開発をしたような場所は、別荘地や元は別荘地だったような区域が今もあります。

 

そういうところであれば地方移住でよく言われる「人との関わりが濃い」というのは当てはまらないかなと思います。

 

 

 

空き家バンクの長所

 

続いて、空き家バンクの長所です。

 

 

・空き家バンクのみに掲載している物件が有る。

 

大手不動産情報検索サイトには掲載していなくて、空き家バンクのみに掲載している物件が有ります。

 

具体的な例としては家主がもういない家で、家財道具も揃っているという物件です。

 

「別荘地の家」や「遠方の息子が相続後、(不動産屋さん経由で)空き家バンクに掲載した家」などがこれに該当します。

 

 

・農地や畑もセットでの情報が有る。

 

物件情報に付随して畑の情報が有ったり、空き家バンクサイト内に農地の情報や

 

「農地バンク」へのリンクが有る場合があり、家と農地/畑をセットで探すのには適しています。

 

農地に関しては法律など、不動産屋さんよりも自治体の方が詳しいかと思います。

 

 

・移住に関する情報もセットで掲載されている場合が多い。

 

居住者の声や、空き家や移住に関する優遇制度もセットで閲覧することができます。

 

 

・「不動産屋さんがあまり持っていなくて、逆に自治体が豊富に持っている情報」に触れやすい。

 

「その家の周囲の環境に関する(一次)情報」は不動産屋さんよりも自治体の方が持っています。

 

例えば防災無線が聞こえやすい家かどうかや、過去にこんな災害があったなどは空き家バンクサイト運営者(自治体)の方がダントツに一次情報を持っています。災害情報はかなり過去まで遡れる資料(100年以上前の火山の噴火記録など)を持っている自治体は結構多いです。

 

そんな情報に触れやすいのが空き家バンクで調べるメリットです。

 

多分、空き家バンクに関して自治体へ問い合わせする際に、併せて「この家から一番近い防災無線の電柱はどこですか?」とメールで問い合わせれば、自治体がその当事者(一次情報の作成者)のため、最短でその日には回答が有るかなと思います。

 

「その家の防災(人命に関する情報等)」について、これを最優先に仕事をしている不動産屋さんはあまり出会ったことが無いですが、これを最優先に仕事をしている自治体は昨今は特にわりと出会います。

 

 

・特に過疎化や人口減少に直面している市町村は、もてなし方に長け、職員さん等が良い案内人となってくれる。

 

これは空き家バンクを使って移住(を検討)する際の、大きなメリットかと思います。

 

移住者の声を見ていると、「自治体の人の対応が良かったので、移住した。」という人もいました。

 

そして、「この空き家バンクは充実しているな。」

 

と感じる空き家バンクは、だいたい田舎の空き家バンクです。

 

当たり前かもしれませんが

 

・既に過疎化や人口減少に直面している市町村 → 空き家バンクに注力している。

 

・「人口減少」は優先課題ではないという市町村(都市) → 空き家バンクに注力していない。

 

です。

 

 

続いて、実際の空き家バンクへの登録方法などを紹介します。

 

 

空き家バンクへの登録から入居まで

 

下調べ

 

下調べが重要です。

 

ここで最低5割以上のパワーを割いた方が良いかと思います。

 

下調べせずに現地へ行くと、期待ハズレ感と移動疲れで疲労だけが残る可能性が非常に高いです。

 

基本的には現地でできることは、「見学予約してた家を見る」だけです。

 

それ以上のことは何も有りません。

 

下調べの時点で見学候補から外していくのも良いと思います。

 

いざ遥か彼方の土地へ行ってから初めて知るのでは、徒労感が半端ないです。

 

 

下調べの例

 

■物件や地域についての詳細情報を調べる

 

・病院/介護施設の情報

 

・鉄道やバスが廃線になっていないか

 

・免許を返納した際の利便性

 

・近隣の施設で許容できない物は無いか

 

・電気/水道/排水溝などを新たに通す時や、そもそも家まで行く時に、他人の私有地を通らざるを得ない。

 

・土砂災害や各災害警戒区域の情報などの自治体のハザードマップ。NHK 全国ハザードマップなど。

 

・該当地域の治安や災害に関する過去のニュース

 

・自治体の財務状況の情報(全国・全地域の財政力指数番付

 

・その自治体の年齢別人口

 

・1人あたりの借金額

 

・年間雨量や温度

 

・再建築不可

 

・市街化調整区域

 

・建ぺい率/容積率

 

・計画道路

 

・位置指定道路

 

・車庫までの道幅

 

などを事前にgoogleマップや不動産屋、自治体への確認などで調べられるところまで調べておきたいです。

 

さらに少し留め置いた方が良い点として、ここ数年で大きく変わる可能性が有るのが、

 

地方移住後に「周囲の空き地や田園風景が太陽光パネル群に取って代わる可能性がある」ということです。

 

 

■空き家改修の補助等の、移住に関する優遇制度や助成金の有無

 

該当の市町村に移住に関する優遇制度や助成金が有るかどうか確認しましょう。

 

本サイトからだいたいはリンクしています。

 

不明点は直接市町村の職員さんに電話で相談しましょう。

 

 

■相場感と見学日に同時に見る物件のピックアップ

 

大手不動産情報検索サイトや地元の不動産屋のサイトで、賃貸/購入にあたっての

 

だいたいの相場の把握や、見学日に同時に見学予定の同一市町村またはその他

 

市町村の物件をピックアップしておく。

 

 

■間接交渉か直接交渉かの確認

 

空き家バンクに掲載されている物件は、一般的な交渉形式である間接交渉(売却者と購入者の間に不動産屋さんが入る交渉形式)がほとんどです。

 

この場合の自治体の立ち位置は、「空き家情報の提供や活性化に関する推進事業」です。

 

実際の交渉等は協定などを結んでいる宅建協会や不動産屋さんと行う方式です。

 

家自体の交渉や契約に関して自治体と何か契約するとかそういうのはまずありません。

 

自治体が何もかも手とり足取りサポートしてくれるような印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、そういう自治体は少数です。

 

移住定住に非常に積極的な自治体であればそういった多くのサポートも有るのかもしれませんが、私が体験した中ではそういった事はありませんでした。

 

※別途、補助金の申請や自治体規定に併せて何かする(耐震に関すること等)場合は自治体への申請などが発生します。

 

そして間接交渉の場合は以下の@nifty ビジネスなどで信用調査会社を利用して、「不動産会社の情報」を取得し判断の一助とするのも良いかもしれませんね。

 

 

ちなみにこの間接交渉と対になる交渉形式である「直接交渉」は、不動産屋さんを間に入れずに物件所有者と直接交渉を行う方法です。

 

仲介手数料などが発生しないなどのメリットが見受けられますが、訳有り情報(再建築不可、土砂災害警戒区域、他人の敷地を通らないと家に行けない等)の入手は、受動的な姿勢だと間接交渉より入手が難しいかと思います。

 

よって、直接交渉を行う場合でも、不動産売買を代理する組織、例えば全国不動産取引エージェント協会等にサポートしてもらうのも良いかと思います。

 

~ここ数年で個人売買サイトが伸長~

 

ちなみに昨今では家や土地の個人売買サイト

 

家いちば

 

e物件情報

 

ジモティー 土地販売/土地売買の住宅情報

 

等があり、相場よりかなり安く購入できることがあります。

 

父母の土地を相続したが、遠方のため売却したいという方が結構おられる印象です。

 

 

該当の市町村への連絡

 

ここからは下調べが終わった後の実際の動きです。

 

私自身が体験したことをもとに記載致しますので、一例としてご覧頂ければと思います。

 

 

まず、本サイトのリンクなどから該当の市町村の担当課に電話やメールにて連絡します。

 

市町村にて実施している各種助成金制度について事前に確認し、詳細を質問してみるのも良いですね。

 

 

空き家バンク申込書の記入と送信

 

市町村へ連絡すると、「空き家バンク申込書を記載し、送って下さい。」

 

と言われますので、空き家バンク申込書に記入してメールやFAXで送付します。

 

※私は埼玉県の市町村へ電話で申し込んだのですが、かなり丁寧にこれからの流れを教えてくれました。

 

 

実際に見学してみたい物件の申し出

 

実際に物件を見てみるため、物件ナンバーを市町村へ伝えます。

 

すると、その空き家を紹介できる不動産屋さんの連絡先を教えてくれます。

 

また、市町村からその不動産屋さんへ連絡が入ります。

 

 

不動産屋さんへの連絡

 

まず、その不動産屋さんのホームページが有るなら事前に見ておきます。

 

そして不動産屋さんへ連絡して、物件を見学する日時を決定します。

 

この時に、その不動産屋さんのホームページで良さそうな物件があれば併せて内見依頼しましょう。

 

「これらの物件の他にもホームページに載っていなくて似たような物件があれば併せて見学したい。」

 

という旨を伝えておくのも良いでしょう。

 

この物件に関して、空き家バンクサイトや不動産屋サイトで気になった点や表記が有れば、その点について質問もしておきましょう。

 

 

物件の見学

 

実際に物件を見に行きます。

 

「掲載されていた写真よりも、修繕や手入れが必要そう・・。」という場合も多々有ります。

 

見学者が多い場合はその限りでは有りませんが、基本的には即決せずに「1週間ほど検討します。」

 

と不動産屋さんに伝えて一定期間、熟慮するのが良いと思います。

 

また不動産屋さんと別れたら、ある程度近隣の住環境や風景を見られれば尚良いですね。

 

その物件から歩いてすぐのところに、「ここに移住して良かった。」と思える景色が有れば最高ですね。

 

少し足を伸ばしたところに観光地や景勝地が有っても、移住後そこまで頻繁には行かないですから。

 

 

不動産屋さんへの連絡

 

入居したい場合、契約を行う旨を不動産屋さんへ連絡します。

 

辞退する場合は次の見学者さんのために早めに不動産屋さんに連絡してあげるのが良いでしょう。

 

辞退した場合も、継続的に新規物件情報をメールで連絡してくれる市町村も有ります。

 

以上が空き家バンクを利用するおおまかな流れです。

 

スポンサードリンク